ホイーリング (ウェストバージニア州)
ホイーリング(Wheeling)は、アメリカ合衆国ウェストバージニア州北部の都市。オハイオ郡の郡庁所在地である。人口は2万7052人(2020年)[1]。同州最初の州都である(現在の州都はチャールストン)。ピッツバーグに近く、重要な水上交通路であったオハイオ川に面していることから、古くは製鉄業で栄えた。しかし産業構造の変化により、1950年代以降は人口が減り続けている。
歴史
[編集]ホイーリングを中心としたオハイオ郡(Ohio County, West Virginia)の歴史は古く、1776年にさかのぼることができる。ホイーリングは1793年にゼインズバーグ(Zanesburg)という町名で創設され、1797年には同郡の郡庁所在地に定められた。1806年には正式な市となり、市名も現在のホイーリングに改められた。
南北戦争の最中、1863年にウェストバージニア州がバージニア州から分離する形で州に昇格するとホイーリングは同州最初の州都になった。しかしこれで州都が定まったわけではなく、ホイーリングとチャールストンの間を絶えず行き来した。1870年には州都がチャールストンに移り、1875年には再びホイーリングが州都となった。その後1877年に行われた州民による最終投票の結果によりチャールストンが州都に選ばれ、1885年にチャールストンに再遷都した。
蒸気船による水上交通が発達すると、ホイーリングはオハイオ川の重要な河港のひとつとして発展した。「鉄都」と呼ばれたピッツバーグに近いことから製鉄業も発達し、ホイーリングの発展を促した。しかし1950年代以降、産業構造の変化と製鉄業の不振により人口が市外へ流出、ホイーリングの人口は減り続けている。
地理
[編集]ホイーリングは北緯40度4分13秒 西経80度41分55秒 / 北緯40.07028度 西経80.69861度(40.070348, -80.698604)に位置している。
アメリカ合衆国統計局によると、ホイーリング市は総面積41.0km²(15.8mi²)である。このうち36.0km²(13.9 mi²)が陸地で4.9km²(1.9 mi²)が水域である。総面積の12.07%が水域となっている。
市域はオハイオ川の東岸とホイーリング島(Wheeling Island)と呼ばれる中州にまたがっている。市街地は対岸のオハイオ州側にも広がっている。市内をホイーリング川(Wheeling Creek)が流れている。ホイーリング川はダウンタウンでオハイオ川に合流する。
交通
[編集]ホイーリングの玄関口となっている空港は市の北約11kmに位置するホイーリング・オハイオ郡空港である。しかし空港の規模が大きく、便数も多いピッツバーグ国際空港を利用することが多い。同空港はホイーリングの北東約100kmに位置し、車で所要1時間強である。
ホイーリング市内を州間高速道路I-70が、また市南側のバイパスとしてI-470がそれぞれ通っている。I-70は東海岸から中西部を貫き、ユタ州へと通ずる幹線である。ピッツバーグは北東に約95km(所要1時間、途中でI-79に乗り換える)、コロンバスは西に約200km(所要約2時間)である。同高速道路上をニューヨークとセントルイスを結ぶグレイハウンドのバスが通っており、ホイーリングにも停車する(一部の便はホイーリングを通過する)。
名所
[編集]- ホイーリング・サスペンション・ブリッジ(Wheeling Suspension Bridge) - オハイオ川に架かる吊り橋。1849年に架けられ、当時は世界一長い吊り橋であった。2年後の1851年にナイアガラ川にクイーンストン・ルイストン・ブリッジ(Queenston-Lewiston Bridge)が架かり、「世界一」の座を譲ることになった。
- キャベラズ(Cabela's) - 2004年に開店したアウトドア用品店。将来的にはこの地域にショッピングセンターの建設が計画されており、キャベラズはその中心という位置付けになっている。
- ホイーリング・アイランド・レーストラック・アンド・ゲーミング・センター(Wheeling Island Racetrack and Gaming Center) - ホイーリング島に位置するカジノ。グレイハウンドのレースやスロットマシンなどを備えている。
- キャピトル・ミュージック・ホール(Capitol Music Hall) - ウェストバージニア州最大の劇場で、約2,500人を収容する。1940年代には、ホイーリングで鉄鋼業に従事する労働者たちが音楽を披露するThis is Wheeling Steelというラジオ番組を制作していた。現在ではあらゆる音楽コンサートが行われている。ホイーリング・シンフォニー・オーケストラ(Wheeling Symphony Orchestra)はここを本拠地としている。また、ジャンボリUSA(Jamboree USA)というカントリー・ミュージックのプログラムが始まったのもこのキャピトル・ミュージック・ホールである。
文化
[編集]教育
[編集]ホイーリングのK-12教育課程はオハイオ郡学校システム(Ohio County Schools)によって運営されている。同システム下には小学校8校、中学校4校、K-8(幼稚園・小・中学校一貫教育校)1校、および高校1校が属する。また、私立学校も数校存在している。
高等教育期間としては、ウェスト・リバティ州立大学(West Liberty State College)やイエズス会系のホイーリング・イエズス会大学(Wheeling Jesuit University)がホイーリングにキャンパスを構えている。また、ダウンタウンにはコミュニティ・カレッジもある。
スポーツ
[編集]ホイーリングにはAHLの下部組織であるECHLのアイスホッケーチーム、ホイーリング・ネイラーズ(Wheeling Nailers)が本拠を置いている。また、インドア・フットボールチームのオハイオ・バレー・グレイハウンズ(Ohio Valley Greyhounds)もホイーリングを本拠地としている。両チームとも市内のウェスバンコ・アリーナ(WesBanco Arena)をホームとしている。
メディア
[編集]ピッツバーグに近いことから、ホイーリングのメディア事情はピッツバーグの影響を大きく受けている。ピッツバーグのテレビ局で放送される番組はホイーリングでも見ることができる。ピッツバーグのテレビ局以外では、次のようなテレビ局がホイーリングをカバーしている。
- WTRF-TV(CBS系列、チャンネル7) - ホイーリングに本部を置く。
- WVTX-CA(UPN系列、チャンネル28) - 対岸のオハイオ州ブリッジポート市(Bridgeport)に本部を置く。
- WTOV(NBC系列、チャンネル9) - オハイオ州東部のステューベンビル市に本部を置く。
また、ホイーリングにはAM3局、FM4局のラジオ局が本部を置いている。
人口動勢
[編集]ホイーリング市 年代ごとの人口推移 [1] | |
1840年 | 7,885人 |
1850年 | 11,435人 |
1860年 | 14,083人 |
1870年 | 19,280人 |
1880年 | 30,737人 |
1890年 | 34,522人 |
1900年 | 38,878人 |
1910年 | 41,641人 |
1920年 | 56,208人 |
1930年 | 61,659人 |
1940年 | 61,099人 |
1950年 | 58,891人 |
1960年 | 53,400人 |
1970年 | 48,188人 |
1980年 | 43,070人 |
1990年 | 34,882人 |
2000年 | 31,419人 |
2010年 | 28,486人 |
2020年 | 27,062人 |
以下は2000年の国勢調査における人口統計データである。
基礎データ
- 人口: 31,419人
- 世帯数: 13,719世帯
- 家族数: 7,806世帯
- 人口密度: 872.1人/km²(2,258.4人/mi²)
- 住居数: 15,706軒
- 住居密度: 436.0軒/km²(1,128.9軒/mi²)
人種別人口構成
- 白人: 92.72%
- アフリカン・アメリカン: 4.99%
- ネイティブ・アメリカン: 0.10%
- アジア人: 0.91%
- 太平洋諸島系: 0.03%
- その他の人種: 0.16%
- 混血: 1.09%
- ヒスパニック・ラテン系: 0.58%
年齢別人口構成
- 18歳未満: 20.6%
- 18-24歳: 9.1%
- 25-44歳: 24.3%
- 45-64歳: 24.5%
- 65歳以上: 21.6%
- 性比(女性100人あたり男性の人口)
- 総人口: 84.1
- 18歳以上: 79.6
世帯と家族(対世帯数)
- 18歳未満の子供がいる: 23.4%
- 結婚・同居している夫婦: 41.8%
- 未婚・離婚・死別女性が世帯主: 12.2%
- 非家族世帯: 43.1%
- 単身世帯: 38.3%
- 65歳以上の老人1人暮らし: 18.6%
- 平均構成人数
- 世帯: 2.17人
- 家族: 2.89人
収入と家計
- 収入の中央値
- 世帯: 27,388米ドル
- 家族: 38,708米ドル
- 性別
- 男性: 30,750米ドル
- 女性: 22,099米ドル
- 人口1人あたり収入: 17,923米ドル
- 貧困線以下
- 対人口: 18.0%
- 対家族数: 13.1%
- 18歳未満: 23.3%
- 65歳以上: 11.2%
脚注
[編集]- ^ “Quickfacts.census.gov”. 4 Dec 2023閲覧。